▲ Fortune 16-2, 108×89㎝, Korean Traditional paper, Natural dyes, 2016

1990年代初めに至り、パク・チョルは今までの成果をもとに国際展を数回行い、続けて海外に作業を伝えていった。1990年にヒルトン画廊で開催した個展をはじめ、パリ、オランダ、ドイツ、カナダなど国内外の画廊で招待展を連続して行った。この一連の展示を通じて、パク(서양화가 박철,박철 화백,朴哲,박철 작가,한지작가 박철,PARK CHUL)・チョルは韓国の代表的な韓紙作家として脳裏に刻まれ始めた。特に、彼の浮き彫り手法は特有の造形性によって他の韓紙(KOREA PAPER)作家の作業と明確な差別性を得る重要な要素となっている。

かつて、私はパク・チョルの90年代の作業を指して「生成と消滅」という見出しで説明したことがある。彼の作品の全般にわたって現れる浮き彫りの性質が物事の生成と消滅を連想させるから である。バイオリン、扉、瓦、メッバンソク、むしろなど、彼が主に登場させた物は、長い歳月の移り変わりを見せてくれる。キャンバスに固定された物のイメージを通じて、まるで今生まれたばかりだったり、寿命になって消えていくかのように、一つ一つの物の歴史を経験的に認識させる。

そして、そのように廃棄される運命に直面しているもののイメージを通じて、私たちの哀れでもの悲しい人間の運命を連想させるのもパク・チョルの浮き彫り手法が持つ力である。そのような 物の物をさらけ出すことが、物「そのもの」に作用して始まるという事実は、パク・チョルの作業を理解する上で非常に重要な内容だと言える。

そして、それはパク(한지부조 작가)・チョルが物を作る作業の過程と特有の手法によって始まる。セメント板に物を押して型を作った後、この板に韓紙を数枚重ねて叩く地道な作業を経て完成した浮き彫り板を取り外した後の15日間がまさに、作品自らが作業を完了させる期間である。この期間に、韓紙(KOREAN PAPER)は温度、水、湿度などの自然の要素が作用して様々な変化を経験する。パク・チョルは、その過程を作品が自らの力で作品を作っていく過程だと理解する。この点について、パク・チョルは次のように言う。

「私は韓紙が乾くまで自然、偶然、古然を待つ。」

パク・チョルのこれらの創作論は、韓国の伝統的な発酵文化とも相通じる世界がある。いわゆる熟成による多様な伝統料理-最も代表的なものとして、みそ玉だま麹をはじめ、マッコリ、醤油、コチュジャンなど- は、自然の理法に完成を任せる。

パク(한지부조 작가)・チョルの作業は、作品自らが己を作っていくように一切の介入を控えるという側面で、これらの伝統的な発酵文化とその脈が触れている。「物を自らいるようにせよ」は、できるだけ自然を傷付けないようにした先祖の自然観と知恵が含まれている。彼が化学染料を使わずに五倍子、ビンナン、どんぐり、栗、ヨモギ、蘇木、紅花、キハダ、クサノオウなどの伝統的な染料を使う 理由もまさにこのような自然を尊重する思想と関連している。

△文 =ユン・ジンソプ(美術評論家)/윤진섭(미술평론가)