一方、同シリーズの09-SM12(案内状掲載)では09-SM11より色彩の使用を抑制して、灰色の余白の空間に黒い屋根と青い壁の家を並べて画面全体を青味を帯びた一様なトーンに纏めています。
遠方の風景ほど青く見えるという空気遠近法が適用されたこの絵では、肌の色の違う人々の共存というイーストサイド ストーリーの当初のテーマが、より身近な内容に変容しているのではないでしょうか。
この絵に描かれた家のイメージは最早ニューヨークという現実の空間から遠く離れ、金明植(서양화가 김명식,김명식 작가,Andy Kim,KIM MYUNG SIK,金明植,김명식 화백,김명식 교수)の原点にある高徳里の記憶へと導かれているように見えます。また、背景の余白の空間は時間や文化の概念をも包み込み、民族としての太古の記憶にまで連なる「魂の響き」を宿しているかのように感じられます。
金明植は、この絵の余白によって民族の魂という熱きものに触れ、自らの民族が太古から宿してきた魂の響きに共鳴する表現方法を獲得したと言っても過言ではないでしょう。△山下高志(야마시타 다카시, 아트랜드 갤러리 대표)
◇金明植(キムミョンシク)
1950 韓国、ソウルに生まれる
1970 中央大学校芸術大学絵画学科修了(BFA)ソウル、韓国
1981 中央大学校大学院洋画専攻修了(MFA)ソウル、韓国
2004~05 米国ロンアイルレンドゥ大学 硏究教授(ニューヨーク)
2010~11 九州産業大学硏究教授(福岡)
<受賞>
1980 具象展銅賞
1981 具象展特選
1981 中央美術大展特選
1982 具象展金賞
2008 月刊美術世界賞(平面部門)
<個展(1984-2018, 70回)>
ソウル(新世界画廊、選画廊、現代アートギャラリー、
青雀画廊、白松画廊、芸脈画廊、インデコ、デザイ
ナーZOO ギャラリー、ドクターパク ギャラリー、
アート アンド ドリーム 他)
釜山(現代画廊、ピカソ画廊、牧歌画廊、ロッテ画廊、
金在善ギャラリー 他)
大邱(中央画廊、斗山アートセンター)
光州(Agbae ギャラリー)
東京、大阪、千葉, 福岡、神戸、札幌、丸亀
シドニー(Victoria Gallery)
マドリード(Neptuno Gallery)
バンクーバー(Covan Gallery)
マイアミ(Diaspora Vibe Gallery)
ニュージャージー(Gallery Xpose)
上海(蘭利画廊)
杭州(印象画廊)
ニューヨーク(Ray Bernard Gallery, Roshkowska Gallery, Road Gallery, PS35Gallery)
2010 ARTLAND Gallery/丸亀
2010 Gallery華/東京
2012 MIZOE ART GALLERY/福岡など
2014 SUN画廊/ソウル
2018 Gallery We/ソウル
<作品収蔵>
韓国文化部、駐中韓国大使館、ソウル市立美術館、釜山
市立美術館、リウム美術館、牡丹美術館、韓国戦争記念
館、SAMSUNG、LG、ハンファ、東亜グループ、企業
銀行(香港支店)、ニュソウルコントゥリクルロプ、
マクスウェルハウスコーヒー、東亜大病院、Centum
リーダーズマーク聖母病院、Grace Institute(ニュー
ヨーク) 、GSカントリー済州、釜山地方検察庁、GS
カントリー江村、韓国電力、トマト貯蓄銀行 他
△東亜大学校芸術大学美術学部絵画学科教授 歷任