▲ Ensemble 17-3, 163×129㎝, Korean mulbrry paper Natural dyes, 2017

韓紙に関する学術的な研究と創作がより深層的かつ多彩な様相をもって現れ始めたのは90年代初めだった。1988年にソウルオリンピックを迎え、白松画廊は[ソウルオリンピック記念コウゾ紙作業展]を主催して韓紙(KOREA PAPER)への関心を表明した。この展示をきっかけに集まった韓紙作家らは、一回きりのイベントではなく、継続的な結束の必要性を感じて韓紙作家協会を結成、1990年に東崇アートセンターで創立展を開いた。

ムン・チョル、パク・ウンス、イ・ソンウォン、イ・ジョンハン、チョ・ドクホ、チェ・ジョンソプ、チェ・チャンホン、ハン・ヨンソプ、ハム・ソプなどが創立メンバーとして参加した。韓紙作家協会は、西洋画を専攻したにもかかわらず、韓紙(KOREAN PAPER)の物性表現に注力した作家が中心になって結成された韓紙作家の団体だった。彼らは、キャスティングをはじめ、コラージュ、プロタージュなどの様々な手法を駆使して、韓紙固有の性質と物性的な特性を最大限まで引き出すために努力した。この協会は、2013年に解散したが、後輩たちに莫大な影響を与えた。

パク(서양화가 박철,박철 화백,朴哲,박철 작가,한지작가 박철,PARK CHUL)・チョルは、代表的な韓紙作家の一人である。かつて、韓紙の豊かな造形的可能性に注目し、表現するために精進してきた。その期間はなんと30年にも及ぶ。画壇の活動を始めた1970年代の後半から、パク・チョルは広木(木綿)と画仙紙を利用して、墨を使った作業をしながら将来現れる韓紙に関する実験を展開した。

パク・チョルにとって韓紙が本格的な物性の探求の対象となったは、1980年代後半に入ってからのことである。この時期に彼が注目したのは、物事をあるがまま浮かび出すキャスティング技法に適しているかどうかの可塑的性質であった。

彼は、ずっと前に安東ダム水没予定地区で見た、廃屋のあちこちに転がっているメッバンソク、むしろ、瓦、扉などに深い関心を見せた。彼は、この時に受けた印象を後日韓紙を使って表現したが、これがキャスティング作業である。90年代初めから中盤の時期に、パク(한지부조 작가)・チョルはバイオリンという西洋楽器とメッバンソク、瓦のイメージを一つの画面で溶解する作業に関心を傾けたが、これは互いに異質な造形性のコントラストを通じて異なる美的な可能性を探求する意図と解釈される。

専業作家としてパク・チョルが韓紙に傾けた誠意と探求の意欲は、過去20年間製作してきた彼の作品にそのまま込められているが、浮き彫りの手法による多様な素材や材料の変容は、彼の作品にはっきりと美的な差別性を付与した。

そこに加えて、パク・チョルは西洋楽器のヴァイオリンを一種のオブジェの概念として受け入れてこれをキャスティングする一方、明確な性格の浮彫絵画へと昇華させていった。洗練された 曲線美が特徴のバイオリンは、韓国の伝統的な素材の韓紙に西洋的な素材を結合させたことにより、優れた美的快感が引き立つ作品だ。

△文 =ユン・ジンソプ(美術評論家)/윤진섭(미술평론가)