▲ Simulacre(111804)_diameter 40㎝_Acrylic on Canvas, 2018

 

『観音伽藍の/棟を眺め/桜雲』

<松尾芭蕉の俳句、口語訳ユ・オクヒ、民音社>

 

以前の作品の表面は、陶磁のように滑らかい感じだった。「没入-陶工の翼」シリーズだが、塗料を厚く塗るか、収縮率の異なる塗料を重ね塗りし、表面にわざとひび割れ模様をつくる「クラック象嵌」技法であった。このために作家は古風で上品に見えるものを探すことに集中した。

王室や高官たちが書いた模様を扱うようになった背景だ。その過程で発見したのが、朝鮮茶碗である井戸茶碗高台である。「かいらぎ(梅花皮)」とも呼ばれる下の部分のでこぼこした結晶の梅の花の皮(梅花皮)が彼を惹きつけたのだ。

▲ Gate of Time(121803)_diameter 30㎝_Acrylic on canvas, 2018

西洋画家ムン・スマン(文水萬 作家, 서양화가 문수만)は 非常に庶民的だが、簡潔な形と深い気品があり、現代的である。複雑な説明が要らない、それがまさに韓国的なものなのだ」と感興の瞬間を語った。「それ以来、火山が爆発したときに四方に飛び散るマグマをすべて吐き出して最後に現れた空間、その空いた場所に再び入る「何か」を想像し始めた」と述べた。

源泉の中央部のブラックホールに吸い込まれていく残骸とその何かが、不規則だが無垢な歳月が流れて再び土が積もり、雨水が湖になり川になる太始の(脈)と繋がった。丸い形をしたキャンバスも、これらの想像力から由来した。

▲ Gate of Time(071803)_diameter 35㎝_Acrylic on canvas, 2018

ムン・スマン作家はその時から、キャンバスの厚い部分を高台と考え始める。波打つようなマティエールが縁から中心部に、そして近作には画面全体を包んで、ある強力な宇宙のエネルギーの流れとして押し寄せる。雄大な山脈や海峡のように感じられるときもあり、遠くから見ると補助者、指揮者のようにある形を成す「フラクタル(FRACTAL)」シリーズとして誕生したものである。

△文=Economic Review/權銅哲 美術のコラムニスト