▲ Bluehole(051803)_diameter 21cm_Acrylic on Canvas_2018

見えない中心を取り巻く丸い円、その円の中にまた別の円があるムン・スマン(문수만 작가)の作品は、静的な中で動きがある。端と端がつながった円そのものが静中動である。展示されたすべての作品に一貫して適用された円形の構図は、違いを作るための同じ下地を成している。

偶然、または必然という文脈で力を発揮する。同様に、秩序の中に無秩序がある。彼 が好んで描く蝶まで含めると、重さの中の軽さも追加されるだろう。ムン・スマン 作家(서양화가 문수만,ARTIST MOON SOO MAN,文水萬 作家)の作品は、このように相反する価値同士がせめぎ合う、躍動的な場を作り出す。

丸い作品には、中心となる場所があるだけで、ある一点への還元はない。そして、様々な中心の間に分布する形 状が、作品間の違いを作る。繰り返しと違いの中で無限回帰する作品は、展示作品のあるタイトルのように、「時間の門」を通過する。

▲ Bluehole(021803)_diameter 21cm_Acrylic on Canvas_2018

青銅鏡遺物のイメージがある「時間の門」シリーズは、鏡の裏面、すなわち空間でありなが ら、時間性を示唆している。鏡は、人を想像の要求に合わせて固着させるが、鏡の表面では なく、裏面を念頭に置くのは、時間の軸の中に自我を配置することを意味する。通常、遺物 は現場で発掘され、博物館に収蔵されれば、腐食の過程が緩和される。時間性には、多くの 変化要因が介入する。

作家も、ある瞬間にこの劣化の過程を停止させるか否かを決定する にあたり、少なからぬ試行錯誤を経験した。彼いわく、「だめになる直前まで」行った作品も 相当あった。過去の作品のように、きちんと仕上げる方がよほど容易であった。それは、完結されたプロセスを開いておくことに該当する。

必然的な脈絡に偶然性を導入することを 意味する。今回の展示で傷がつき、腐食した形態、埋もれたり、偶然的に現われた形をはじめ、時間性を暗示するために、より多くの工程が追加された。ヴィンテージジーンズが、一般的なジーンズよりも多くの手作業の工程を必要とするのと同じである。

▲ Gate of Time(081803)_diameter 35cm_Acrylic on canvas_2018

そして、ムン・スマン(문수만 작가)の作品は、古い文化財のように、精巧な中にも雰囲気のあるものとしての面貌を獲得する。作家が魅惑されるのも、恣意と自由を区別することができない一端 の現代美術ではない。

しかし、シミュラルク的属性を帯びる彼の作品は、現代性の中央にある。美術界におけるシミュラルク的テーマの作品が少ないとはいえないが、それが説得力を得るために備えるべき精巧さを伴った作品はあまりない。作品が文化財の価値を考えると、完璧なものをより完璧にするのは時間ではないだろうか。

△文-李仙英(美術評論家)/글=이선영(미술평론가)