▲ 외할머니

 

キム・キョンウォンが最も興味を持っている素材は、「ひと」である。「絵を描く」作業をしながら、どんな空間を描く場合にも、彼女の絵にはかならずひとがえがかれる。彼女にとって空間は、ひとがもみあい、息をする生きるための場所である。空間があるからひとが存在するが、いっぽうではひとがいるから空間も存在するのである。

キム・キョンウォンの絵の中のひとびとは、観念の中で作られた存在でなく、今まで実際に会ったことのある過去と現在のひとびとである。彼女と会って心を分けあったひとびとを通じて、彼女は人間の善良さを読みとり、画布に移しだす。世の中には、キム・キョンウォンの絵の中のようにあたたかいひとびとだけが生きているわけではないが、そうであったとしても彼女はひとびとの持っている善良な心を信じて世の中をながめる。絵の中のひとびとはたいてい、笑っている。幾多の表情には多くの感情が溶け込んでいる。彼女は顔を通じて、多くの感情を読み取る。そしてまた、画面にそれを映し込む。

 

▲ 치과의사 선생님

 

彼女の人への探求は、旅、踏査、遺跡めぐりと共に始まっている。歴史の跡をめぐりつつ、過去の「ひとびと」と出会い、先祖の顔を見る。旅を通じて今、生きている土の匂いのする隣人に出会う。ひとびとに対する感情、その「感じ」を集めて、記憶として画面に拡げるのである。キム・キョンウォンは倦むことなく出会いを経験する。生きている今日のひとであれ、過去の痕跡–岩に刻まれた仏像であれ、木の像であれ、出会う対象と関係なく、こころと感情を通じ合わせる。こころと感情が先なのである。感応のない、「人体」では「こころ」が感じられない。だから彼女の人物像を、私は「人物」でなく「ひと」と呼びたいのである。

東洋で人物、特に肖像画を描くときは、必ずその中に「こころと精神を込める」ことが必要だと言われてきた。これを「伝神」と言うそうだ。キム・キョンウォンは日々あたたかいひとびとを経験したすべての瞬間をスケッチして持ちつづけ、この「伝神」– こころと精神を込める – ため学び続けてきた。「伝神」の真髄は、「目」である。「目」にどのような表情を込めるかによって、相手がその「ひと」のここを読みとれるようにすること、これが人物画を楽しませる核心である。キム・キョンウォンの絵は、瞬間のクロッキー、スケッチのように見えるが、「目」の表情を通じて、確実に「ひと」をとらえる。

△パク・ソンウォン(ヨンセ大学博物館 学芸員)/박성원(국립중앙박물관학예연구사)

◇조각가 김경원(ARTIST KIM GYEONG WON)의 그림에는 반드시 사람이 등장한다. 김경원 작가에게 있어서 공간은 사람이 부대끼고 서로 숨 쉬는 삶의 터전이기 때문이다.

 

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